ひび割れ注入工法の施工方法を徹底解説!ひび割れ充填工法との違いや施工の手順など

ひび割れ注入工法と充填工法は、コンクリートのひび割れ補修において重要な手法ですが、それぞれに異なる特長があります。
本記事では、ひび割れ注入工法の施工方法を解説し、さらにひび割れ充填工法との違いについても詳しくご紹介します。施工手順や使用する材料の違いを理解し、最適な方法を選ぶための参考にしてください。
当社リビングカラーコーポレーションでは、豊富な経験と高い技術力を活かし、無足場工法による外壁調査や外壁補修などのサービスを提供しています。足場設置が不要なため、大幅なコスト削減、工事期間の短縮、工事中の安全性や入居者負担の軽減ができることから、多くのオーナー様からご好評をいただいております。無足場工法での工事をお考えのオーナー様はぜひお気軽に当社までお問い合わせください。
目次
- 1. ひび割れの注入工法とは?
- 2. 自動式低圧エポキシ樹脂注入工法の施工方法
- 3. 手動式エポキシ樹脂注入工法の施工方法
- 4. 機械式エポキシ樹脂注入工法の施工方法
- 5. ひび割れ注入工法の料金
- 6. ひび割れ注入工法とひびわれ充填工法の違い
ひび割れの注入工法とは?
ひび割れ注入工法は、樹脂系やセメント系の注入材をひび割れに注入することで、劣化因子がひび割れから侵入するのを防ぐ方法です。この工法は、微細なひび割れから大きなひび割れまで幅広く対応可能です。
施工方法には手動式、機械式、自動式の3つがありますが、特に注入量の管理が容易な自動式低圧注入工法がよく使用されており、注入精度が作業員の熟練度に左右されないという長所があります。
ひび割れ注入工法では、注入した樹脂などがひび割れから漏れないように、事前にひび割れ部分にシーリング処理を施すことが求められます。シーリング材を選定する際には、以下の点を考慮することが大切になります。
- 加圧注入された注入材が漏れないよう、コンクリートとの接着力が十分であること。
- シーリング作業が効率的に進められるよう、材料の扱いや作業性が良好であること。
- 注入後、コンクリート面が汚れないことも含め、シーリング材が簡単に撤去できること。
自動式低圧エポキシ樹脂注入工法
自動式低圧エポキシ樹脂注入工法は、ひび割れの注入工法で多く使われる手法です。コンクリートに生じたひび割れに対して、専用の加圧器具を使い、エポキシ樹脂やセメント系の補修材を注入します。この工法は、ひび割れの深部にまで補修材を浸透させることができるため、より効果的な修復を可能にします。
この方法の基本的な特徴は、0.4N/mm²以下の低圧を用いて、専用器具内で補修材を加圧し、補修材が注入される状態で硬化することです。注入時には、低圧でゆっくりと補修材を注入し、ひび割れ内部の深層部までしっかりと届かせます。
これにより、表面のみを補修するシール工法やUカットシール材充填工法と異なり、ひび割れの深部まで補修が行えます。特に、耐力壁などの重要な構造部分や、広範囲にわたるひび割れ、深い部分にまで補修が必要な場合に非常に有効です。
手動式エポキシ樹脂注入工法
手動式エポキシ樹脂注入工法は、コンクリートのひび割れを修復するために用いられる手法です。この方法では、エポキシ樹脂を手動で注入し、ひび割れを埋めて強度を回復させます。作業者が直接樹脂を注入するため、ひび割れ部分をしっかりと修復できます。
この工法は、比較的簡単に実施できるため、小規模なひび割れの補修に適しています。また、機械を使わずに手作業で進めるため、コストを抑えることができる点もメリットです。
ただし、作業には熟練が求められ、均等に樹脂を注入するための技術が必要です。そのため、作業員のスキルによって結果が大きく左右されることがあります。
機械式エポキシ樹脂注入工法
機械式エポキシ樹脂注入工法は、ひび割れ補修に使用されるエポキシ樹脂注入の方法の一つで、作業を機械で自動的に行うものです。この工法では、専用の機械を使ってエポキシ樹脂をひび割れに均等に注入します。
機械式の特徴は、手動式と比較して精度が高く、0.25mm以下の小さいひび割れに対応しやすい点です。機械が均等に樹脂を注入するため、手作業よりも効率的で、作業時間を短縮できるメリットがあります。
また、一定の圧力で樹脂を注入することができ、ひび割れ内部まで樹脂がしっかりと浸透するため、補修効果が高いとされています。
ただし、機械式は機器の導入や運用にコストがかかる、注入量の把握がしにくいなどデメリットもあります。
自動式低圧エポキシ樹脂注入工法の施工方法
自動式低圧エポキシ樹脂注入工法の施工方法についてご紹介します。
引用文献:【国土交通省】令和4年版 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)
ひび割れの清掃
ひび割れに沿って幅50mm程度の汚れを除去し、清掃する。
注入間隔の決定
注入間隔は、特記による。特記がなければ、200~300mm間隔とする。
注入器具の設置
注入器具または台座を、ひび割れが中心にくるようにして、仮止めシール材等で取り付ける。
仮止めシール材の準備
仮止めシール材はシール材の製造所の仕様により、2成分形の場合は主剤と硬化剤を正確に計量し、均一になるまで混練りする。
仮止めシール材の塗布
ひび割れ部に沿って仮止めシール材をパテへら等で幅30mm、厚さ2mm程度にシールする。なお、壁裏面に注入材料が漏れるおそれのある場合は、監督職員と協議し、壁裏面に仮止めシール材を行うか、または壁裏面から流出しない粘度の注入材を使用する。
注入量の確認
エポキシ樹脂の注入量は、特記による。
エポキシ樹脂の準備
エポキシ樹脂注入材料は、エポキシ樹脂注入材の製造所の仕様により、主剤と硬化剤を正確に計量し、均一になるまで混練りする。
注入の実施
混練りしたエポキシ樹脂を注入器具に入れ、ゴム、バネ、空気圧等により、注入圧を0.4N/mm²以下として注入する。
注入中の確認
注入時は、台座やシール部からの漏れをチェックし、注入器具内のエポキシ樹脂の減量状態を確認して、足りない場合は補充する。なお、注入完了後は、注入器具を取り付けたまま硬化養生をする。
撤去と清掃
エポキシ樹脂注入材の硬化を見計らい、仮止めシール材及び注入器具を適切な方法で撤去し、清掃を行う。
手動式エポキシ樹脂注入工法の施工方法
手動式エポキシ樹脂注入工法の施工方法についてご紹介します。
引用文献:【国土交通省】令和4年版 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)
注入口の間隔設定
注入口の間隔は特記による。
注入位置のマーキング
注入位置をスケールなどで測定し、チョーク等を使って位置をマーキングします。
注入パイプの取り付け
ひび割れ部に座金付き注入パイプを取り付けます。
注入口を穿孔し、パイプを取り付ける際は、穿孔内の切粉を圧搾空気で除去します。
エポキシ樹脂の準備と注入
混練りしたエポキシ樹脂を手動式注入器に入れ、注入器のノズルを注入孔のゴムパッキンに押し付けて、ゆっくりと注入します。
注入のチェックと順序
注入時は、台座やシール部からの漏れをチェックし、注入圧の加減を調整します。
垂直方向のひび割れは、下部から上部へ順次注入します。
水平方向のひび割れは、片端部から他端へ順次注入します。
注入後の処理
注入完了後は、注入口を密封したまま硬化養生を行います。
その他の施工手順
上記1~6での手順以外は、自動式低圧エポキシ樹脂注入工法の施工方法の1、4~6まで及び10によります。
機械式エポキシ樹脂注入工法の施工方法
機械式エポキシ樹脂注入工法の施工方法についてご紹介します。
引用文献:【国土交通省】令和4年版 公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)
注入口の間隔設定
注入口の間隔は特記による。
注入位置のマーキング
注入位置をスケールなどで測定し、チョーク等を使って位置をマーキングします。
注入口の設置
注入口を設けるため、注入口位置にテープやゴムパッキンを取り付けます。 注入口が目詰まりしている場合は、サンダーやドリルを使用して注入口を確保します。
エポキシ樹脂の準備と注入
エポキシ樹脂の主剤と硬化剤を注入機の所定の場所に別々に入れます。 注入機のノズルを注入口に押し当て、エポキシ樹脂を注入します。
その他の施工手順
1から4までの手順以外は、自動式低圧エポキシ樹脂注入工法の施工方法の1、4から6まで及び10、並びに手動式エポキシ樹脂注入工法の施工方法の5によります。
ひび割れ注入工法の料金
ひび割れ注入工法の中でも、現在一般的に多く使われている「自動式低圧エポキシ樹脂注入工法」の料金についてご紹介します。
令和6年度、中部地方整備局の営繕工事の材料単価などでは以下のようになっています。なお下記単価は「材料費」と「労務費等」を合わせたものになります。
仕上げ方法 | ひび割れ幅 | 金額(円)/㎡ |
---|---|---|
コンクリート打放し仕上げ | 0.2~0.3㎜ | 5,100 |
コンクリート打放し仕上げ | 0.3~0.5㎜ | 5,100 |
コンクリート打放し仕上げ | 0.5~1.0㎜ | 5,240 |
モルタル仕上げ | 0.2~0.3㎜ | 5,100 |
モルタル仕上げ | 0.3~0.5㎜ | 5,100 |
モルタル仕上げ | 0.5~1.0㎜ | 5,240 |
タイル張り仕上げ | 0.2~0.3㎜ | 5,100 |
タイル張り仕上げ | 0.3~0.5㎜ | 5,100 |
タイル張り仕上げ | 0.5~1.0㎜ | 5,240 |
⇒関東地方整備局営繕部:営繕工事の材料単価等の公表についてはこちら
ひび割れ注入工法とひびわれ充填工法の違い
ひび割れ注入工法と充填工法は、いずれもコンクリートのひび割れを補修するための方法ですが、使用される材料や適用されるひび割れの幅によって異なります。これら2つの工法の違いをわかりやすく解説します。
ひび割れ充填工法とは
ひび割れ充填工法は、ひび割れ部分に沿ってコンクリートをU字形などにカットし、弾性シーリング材や可とう性エポキシ樹脂、ポリマーセメントモルタルなどを充填する方法です。この工法は、ひび割れ幅が比較的大きい場合や、ひび割れ内部が遊離石灰などで塞がっている場合に適用されます。
ひび割れ幅が大きく、温度変化によりひび割れ幅が大きく変動する場合には、ポリウレタン樹脂や変成シリコーン樹脂などの弾性シーリング材を使用します。ひび割れ幅の変動が少ない場合は、可とう性エポキシ樹脂が充填され、ひび割れ幅が変動しない場合には、ポリマーセメントモルタルなどの硬質材料が使われます。
また、ひび割れから湧水がある場合には、急結セメントで止水処理を行ったり、半割管やメッシュホースを設置して湧水を外部に安全に導く対策が必要となります。
ひび割れ注入工法と充填工法の違い
ひび割れ注入工法法では、エポキシ樹脂やポリウレタン樹脂などの液体材料をひび割れに注入することで、ひび割れ部分を埋め、内部から補修します。液体がひび割れの隅々まで浸透し、強固に接着させるため、細かいひび割れでも効果的に修復できます。
ひび割れ充填工法では、ひび割れ部分をU字形などにカットし、その後、弾性シーリング材や可とう性エポキシ樹脂、ポリマーセメントモルタルなどの充填材を使用して補修します。ひび割れが広がっている場合や、ひび割れ内部が遊離石灰などで塞がっている場合に適しています。
当社リビングカラーコーポレーションでは、豊富な経験と高い技術力を活かし、無足場工法による外壁調査や外壁補修などのサービスを提供しています。足場設置が不要なため、大幅なコスト削減、工事期間の短縮、工事中の安全性や入居者負担の軽減ができることから、多くのオーナー様からご好評をいただいております。無足場工法での工事をお考えのオーナー様はぜひお気軽に当社までお問い合わせください。